今週は本山周平です。パリ編は前回の中島里菜毎日GRAFをご覧くださると幸いです。
https://grafpublishers.com/archives/4762
11月12日 火曜日 晴れ
昨日の昼の便でパリ シャルル・ド・ゴール空港を発って、早朝にトランジットの為、上海へ着く。僕にとっては初めての中国入国でちょっとドキドキした。フランスは友好国感も強く入国も比較的楽でしたが、中国は申請することも多く、出入国するのに手続きが多かった。でも、今回は全ての手荷物検査でフィルムをX線から回避できたのはよかった。
無事、上海入りを果たすと入口でメンバーの孔くんが出迎えてくれた。変わらない独特の口調で久しぶりに会った感じもしなかったな。お父さんの車で迎えに来てくれていたので、上海の市街地までドライブ。いろいろと近況を話してくれた。中国は独自のメディアなので普段からなかなかコミュニケーションが取れなかったからいい機会だった。にしても上海は発展してますねー。百々新さんの写真集『上海の流儀』の面影はほとんど残ってなかった。
街をプラプラして、蟹でも食べようかと学生さんに教えてもらった店を発見。べらぼうに高くて断念。ちょうど良さそうな町の定食屋さんがあったのでそこでランチ。僕らの舌にはこの店で充分だよ。
短い滞在だったけど、ハノイ、パリ、上海と少しだけ異国の街を見れたのはとてもいい機会だった。次はゆっくり訪れたい。
パリでの経験は励みになった。たくさんのひとがゆっくりと丁寧にページをめくり、装丁や紙の質感を楽しむ様子を眺められたのはまだ写真も捨てたもんじゃないと思えたし、写真の可能性を見い出すことが出来た。持っていった写真集が完売したり、他のメンバーの写真集もたくさん売れたことも嬉しかったけど、なにより、僕らがやってきたことを純粋に楽しんでくれる人々がいると実感できたことが収穫だった。
夕方の便で羽田に向かう。國領くんが綿密に下調べをしてくれたおかげで順調に滞在や移動もできた。最後の預け荷物の受け取りで事件発生。僕の荷物が届かなかった。モバイルバッテリーを預け荷物に入れてしまっていた。やっちまった…。出発前に焦ってパッケージしてしまって手荷物に入れるのをすっかり忘れてしまっていた。上海に足留めされているらしい。早ければ明日の便で届くみたいでひと安心。「上海空港でひと声かけてくれたらいいのに。搭乗前にさぁ。」なんて100%僕が悪いとはいえ、そう思わないとイライラが収まらないからそう思うようにして気持ちをまぎわらせる。
月曜日の朝にパリのアパートを出て、火曜日の朝に上海着、日付が変わる前に中野に着いたのでなんだか丸二日徹夜したような感覚。後半疲れてたのかなぁ。
11月13日 水曜日 晴れ
明日の午前中にロストしていたキャリーバックが届くことになってひと安心。
午後から授業へ。オートバイにも久しぶりに乗る。卒業制作の提出も間近に迫ってきているのでみんなの作品見せてもらう。テンションも上がってて、見違えるほど良くなってた。風邪ひいたのか下を向いていると鼻水がとめどなく流れてきて苦労したけど僕のテンションも上がりました。面白いね、写真は。
授業後久しぶりに國竹先生と近所の立ち飲み屋へ。欲してしたザ日本食を食べられて超満足。いい話も出来たし、楽しい日常に戻りました。と思っていたら、真夜中に鼻水止まらず、一睡も出来ず地獄。
11月15日 木曜日 曇り
午前中にキャリーバックが戻ってきた。無事中身も入っていてひと安心。
午後から授業。フィニッシュワーク。2年生はみんなカラー暗室なのでみんなに混ざってコンタクトプリントをとる。
有元先生のZineゼミで2年生の王康裕くんが作ったZineをくれた。初めてのオフセット印刷でここまで出来たら大したもんだよ。
夕方からゼミ。いよいよ本格的にスタート。まずは展覧会タイトル案を出しあって木曜日のゼミの候補を一つ決めた。なかなかいいタイトルだなぁ。
家に戻って写真集にサインを入れる。台湾のブックフェアに学生さんが持っていってくれると言ってくれた。台湾に『日本2010-2020』が上陸するのは初めてじゃないかなぁ。有難いなぁ。めちゃくちゃ嬉しい。東京ビジュアルアーツの有元伸也Zineゼミの学生のみなさんが台北アートブックフェアに参加します。各自、制作していますので、ぜひ!紹介してもらった分だけですが、下記リンクから見れます。
僕の写真集はこちらのブースです。
グループ名:1ost memo
アドレス: 華山1914文化創意産業園区
時間:11月22日から11月24日まで
金曜日—日曜日 13:00-21:00
Book fair Linkhttps://www.instagram.com/taipeiartbookfair/profilecard/?igsh=a3hoMnV4Y3p6ODFm
こっちが2年生中心のグループかな。
グループ名:405A
あと、二つブースが出るみたいです。
11月16日 金曜日 雨のち曇り
今日は朝から授業。雨なので電車通勤。午前中は一年生のバライタ紙プリント体験1日目。きちんとプリントできれば圧倒的に美しいからなぁ。僕もみんなに混ざってバライタプリント実演。
午後は大判カメラ撮影体験。曇り空だからちょっと難しいかもしれないけど。普段僕は使わないカメラなのでこの10年でこの授業のために勉強した。でも、僕には全く合わないカメラ。道具は身体の一部みたいに扱えないと僕にはまるで扱えない。
夕方からゼミ。昨日と全く同じ内容だけど参加メンバーが違うので雰囲気も変わる。きっと展示も前半と後半で違うものになると思う。木曜日も金曜日もゼミはむちゃくちゃ活気があるから見ていて気持ちいいよ。
家に戻って、shashashaから注文があった『巡る犬』の発送準備。
11月17日 土曜日 曇り
今日は午後から卒業制作の最後の中間審査。の前にTPPGで水島貴大展。インスタレーションはピカイチだなぁ。身体性があって好きですねー。写真も展示も身体使っててとても良かった。
卒制も提出まで40日弱。やっぱり時間かけて少しずつ制作してきたものには積み重ねがあっていい作品になりそうなものが多かったな。あとは最後まで手を抜かないように仕上げて欲しいですね。
多分、風邪をひいていたと思うんだけど治す時間がなかったので、夜早めの就寝。
11月18日 日曜日 晴れ
久しぶりにゆっくり寝た。午前中に写真集を送るために荷物を出す。
10月から週に二日暗室に入れる環境があるので、そこで一枚とか二枚とかプリントしているうちにプリントも溜まってきた。
現在同時進行で制作しているのは「月光」学生の頃から撮っていた夜の写真を集めたシリーズ。と「東京」こちらは2000年くらいからの6×7の東京の町々を撮っているシリーズ。と「日本」2010年からのシリーズの続き。と強いて言えばもうひとつの「日本」2000年からの写真集に入らなかった日本。を4つ同時にプリントアーカイブしているのでそれぞれにジャンル分け作業する。基本的には時系列に並べて、一軍と二軍に分けています。だんだん一軍が減っていくんだけど。
パリから戻ってからも仕事が立て込んでいたし、体調も崩してしまったので今日ようやく荷物の整理ができた。
一年生の学生さんからひとつ展示のお知らせ↓
11月18日 月曜日 晴れ
咳が止まらなくて寝れなかった。今日は休日にしようと何もせずにゆっくり身体を休めることにする。と思っていたけど明日は撮影仕事があるので機材の準備。
GRAFメンバーの展示や学生さんたちのイベントや展示が続いています。ご紹介をいくつかしました。
僕は年末にギャラリー街道恒例の街道蚤の市に出展します。年々売り物がなくなってきましたが、カラーの写真集が少し出てきたので出品します。毎年掘り出し物が出ますので要チェックですね。
年明けは浅草のZINEフェスに出ます。GRAF出版のなかにもZINE的な本もたくさんありますので。1/11開催です。詳細はまたお知らせします。
【メンバー写真展のお知らせ📢】
國領翔太写真展『群MURA-紀伊半島-』
2024年12月11日(水)-12月22日(日)
13:00-20:00(最終日18:00まで)
かまどの下の灰までgallery
https://www.instagram.com/kamashita.g
〒640-8216 和歌山県和歌山市元博労町29
TEL:070-8563-3182
作者在廊日
12/11,12,13,14,15
12/21.22
変更などがありましたら
gallery instagramにてお知らせいたします。
メンバー國領翔太の写真展が和歌山県和歌山市にて行われます。今回は紀伊半島を主としたシリーズ『群-MURA-』の写真展です。新作も交えての展示となります。
國領もほぼ在廊していますので、ぜひごゆっくりと鑑賞していただけましたらと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
小林正秀も現在展示中です!
小林正秀|中桐聡美展
『風景のかたち』
2024年11月9日(土)〜11月24日(日)
勝央美術文学館
岡山県勝田郡勝央町207-4
HP: http://museum.town.shoo.lg.jp/
<アーティストトーク>
小林正秀(写真家) × 中桐聡美(版画家)
ゲスト:下道基行(美術家)
日時:2024年11月10日(日) 14:00〜15:00
事前申込優先(定員30名)
お問い合わせ:0868-38-0270(勝央町美術文学館)
【開催概要】
このたび、小林正秀・中桐聡美展「風景のかたち」を開催いたします。
小林(写真家/美作市出身)は、自らの生活圏である中国山脈に近い山間部の風景を、レンズと記憶という2重のフィルターを通して、「版(写真)」に映し出し、古典的なモノクロームの「風景」を表現します。その作品は、現実の風景を写しながら作家の内的世界をたどり、その視線の先にある、時空を超えた誰もいない静謐で懐かしい異界へと、鑑賞者をいざないます。
中桐(版画家/倉敷市出身)は、自身の原風景である瀬戸内海の写真を、「版(イメージ)」としてシルクスクリーンで紙に刷り、その表面をカッターナイフで傷を付け、またインクで滲ませることで、新たな「風景」を描きます。それは、元のイメージを排除し、何かを付け加えるためのものではなく、時とともに、イメージが変化していく移ろいを表現しています。鑑賞者は、作家の「手」を介することで、交じり合い、揺蕩う波のように変化する「風景」の中に記憶や感情を見続けるのです。
「風景」とは、単なる自然界の有様ではなく、記憶や感情が絡み合い、見る者の心の在りようによって姿を変え、流れていく「かたち」なのではないでしょうか。
小林正秀と中桐聡美。共に岡山を拠点に、写真と版画という一つの「版」から複数のイメージを生み出すメディアで作品を制作する二人。しかし、close but not the same(似て非なる…)表現による、「風景のかたち」をどうぞご堪能ください。