こんばんは。小林です。今回は先日三重県のgallery 0369で開催させていただいた写真展『DRIFTING CLOUDS』の報告編として、現地での様子をご紹介させていただきたいと思います。お付き合いいただければ幸いです。

gallery 0369があるのは三重県の県庁所在地である津市。と言いましても、2006年に市町村合併で津市になる前は美里村と言われていた場所で、津市の中でもかなり山間の方にあります。一山越えればすぐに伊賀なので、本当に長閑な場所です。ギャラリーは写真家の松原豊さんのご自宅に隣接する形であるオフィスの1階に作られていて、その外観からはちょっとギャラリーだとは分かりにくいかもしれません。でも、中に入ればしっかりとしたホワイキューブが迎えてくれます。

今回は展示前日に現地入りをさせてもらい、ゆっくりと展示の並びや構成を考える事が出来ました。時間をかけてゆっくり展示するのは始めてなので、いつもより少し違った印象の展示に出来ました。美里に流れる緩やかな時間も影響した気がします。展示には今回の発表に合わせて写真集も準備しました。東京、地元岡山以外で発表するのも始めてなので、どんな反応になるかちょっぴり不安でもありましたが、初日はじっくりと見てくださる方も多く、上場な出だしでした。

展示初日はギャラリーオーナーの松原さんの司会進行にて、三重県在住の写真家・荻野良樹さんをお招きしてトークイベント、でしたが、その様子の写真は撮り忘れてしまった、、、。荻野さんは2019年に岡山のギャラリー722で開催した『美作』の展示にも来てくださった事があって、お付き合いが始まったのはその時からでした。コツコツと着実に自分の写真活動を続けれている姿が印象的で、尊敬する写真家のひとりです。

トークイベントはお互いの写真に関してより理解が出来る様な、そんな有意義な時間であっという間に時間が過ぎました。様子は松原さんが録画してくださっているので、また見返して見ようかなと思います。上の写真はイベント後の「囲炉裏を囲む会」の様子。荻野さんは焼き鳥屋で働いていた事もあったそうで、当日はその手際の良い仕事ぶりを披露してくださいました。焼き鳥、美味かった!楽しい夜の時間もあれよあれよと過ぎて行き、、気がつけば眠りの中へ。荻野さん、お集まりいただいた皆様、ありがとうございました!

0369での展示では、写真をやっている方からそうでない方も本当にゆっくりと丁寧に展示を見てくださる方が多くて、とても驚きました。質問もあれこれとしてくださるので、滞在時間も長い。こういうゆっくりとした鑑賞の時間が流れるのはいいですね。展示している写真は美作の山間部を撮影したもの、美里も同じ山間部なのですが、やっぱり共通点も多く、田舎の風景を田舎で展示する事で見えてきたり、感じられるものがあるんだなと思いました。

ギャラリーで良い時間を過ごした後はお酒も進んでしまって、松原さんと宿の女将さん(松原さんの奥様)と連夜の飲み会。持参した地酒が松原さんに好評で、展示2日目にして1升半を開けてしまいました(因みに、僕と松原さんはお酒は強くない)。地元の食材を使った女将さんのお料理もとても美味しいので、ついつい飲み過ぎてしまいました。

最初の週末を終えて、小休止で伊勢神宮へ。始めて来ましたが、平地なのにこの深い森感は凄い。川の水もとても澄んでいて、心が洗われる様です。泳いでいる魚も、近寄っても逃げない所も凄いですね。やっぱ守られている場所なんでしょうね。

内宮、外宮と一通りお参りして、近くの町並みも散策。というか、この趣ある通りも凄いですね。夕方5時前でほぼお店は閉店直前でしたが、結構な人で賑わっていました。赤福は買えなかったので、戻り道で買うことにしよう。

月、火と2日お休みをいただいて、展示後半スタート。気がつけば、暑かった気温もすっかり落ち着き、秋です。

平日だし、展示はゆるやかなスタートかな?と思っていたのですが、松原さんと女将さんの人脈も凄く、次々にお客さんが訪ねてこられて、、、。写真は北海道から宮崎に移動中に三重に滞在するというソフトクリーム屋さんのご夫婦。北海道の事、宮崎の事など面白いお話をたくさん聞かせていただいて、写真集まで購入していただきました。キャンピングカーの本棚に入れてくださるそう。とても嬉しい。

そして、夜は「知人から松茸が送られて来た」との事で急所松茸で松原ご夫妻と囲炉裏を囲む会を。カナダ産だったのですが、それでもとても美味しい。松茸は、やっぱり炭火焼きで香りと風味を味わうのがいいですね。松茸御飯も炊いてくださって、秋に感謝した夜でした。

明けて翌日。山間のギャラリーという事で、平日はお客様がこられない日もあるだろうなと思っていたのですが、毎日誰か来てくださって、ゆっくりとお話をしながら展示を見てくださるという日々。松原さんが作ってきた土壌と、美里という長閑で豊かな土地柄がなせる業でしょうか。とても良い時間です。

写真集も本当にたくさんの方に手にとっていただき、会期後半には残り部数わずかに。今回初版は少部数の限定印刷だったので、急遽増刷分を追加依頼しました。美作、山雪も含めて、本を多くの方にお届け出来たのが嬉しかったです。

夜は松原さんのおすすめで、近隣の名湯・あのう温泉へ。入っているとしょっぱさを感じるほどの塩化物泉なのですが、冷泉と温泉に交互に浸かるのが凄まじく気持ちよく、、。帰り際には気持ち良さで足がフラフラしていました。

そうこうしている間に展示は最終日に。松原さんが再び囲炉裏を囲む会を企画してくださって、地元の方、遠方から来てくださった方と再び夜の良いひと時を過ごせました(鈴木さん、東さんありがとうございました)。気がつけば、お酒を飲まない日がなかった。でもなぜか疲れていないのが不思議です。

展示が終わり、ギャラリーを経つ直前には松原さんが大判カメラでポートレートを撮ってくださいました。カメラを前にして撮影を待つ時間にも緊張感があって、この感覚は大切だなと感じました。松原さん、そして女将さん、10日間の展示と滞在、本当にお世話になりました。ありがとうございました。

そして、gallery0369での写真展『DRIFTING CLOUDS』に足をお運びいただいた皆様、本当に、本当にありがとうございました!写真を通じて人と繋がり、土地と繋がれる、そんな良きあり方を教えていただきました。また、新作を引っ提げて、必ず戻って来たいと思います。どうぞ、その時はよろしくお願いいたします。